ポスティング制度とは、日本プロ野球(NPB)選手がメジャーリーグ(MLB)移籍を実現するためのシステムです。井川慶選手の「最悪契約」から大谷翔平選手・山本由伸選手のMVP級活躍まで、この制度によって多くのNPB選手が海を渡っています。
2025年には村上宗隆選手や今井達也選手がポスティングでメジャー挑戦するなど、新時代を迎えています。
今回はポスティング制度や譲渡金ランキングについて調べていきます。

ポスティング制度とは?

  • ポスティングの基本ルールと流れ(申請→入札→契約)
    ポスティングは3つのステップで進行します。まずオフシーズンに選手が所属球団へ「ポスティング申請」を提出し、球団が承認するとMLB30球団へ通知されます。
    次にMLB球団が入札を行い最高額を提示した球団が交渉権を獲得、最後に選手との契約締結で完了します。
    この流れで球団は譲渡金を得られ、申請を行なった選手はメジャー挑戦が可能になります。

  • 海外FAとの違い
    海外FAは選手が自由に契約先を選べる一方、NPB球団に譲渡金が発生しません。
    対してポスティングは球団の許可が必要で、入札額に基づく譲渡金が発生するため、球団にとって金銭的メリットが大きいです。
    例えば山本由伸はポスティングで巨額譲渡金をもたらしましたが、FAならゼロでした。
    この違いから、球団は有望選手のポスティングを戦略的に活用する例があります。

譲渡金の計算方法

  • メジャー契約の場合(段階式):

    契約総額区分 譲渡金率
    2,500万ドル以下 20% 
    2,500万〜5,000万ドル 17.5%
    5,000万ドル超 15%
  • マイナー契約: 契約金25%

  • 出来高分: 15%追加(年毎支払い)

  • 計算例: 山本由伸(オリックス→ドジャース)
    5062万5000ドル(約70億9000万円)

主なポスティングの例

◆2002年

石井一久(ヤクルト→ドジャース) 1126万4055ドル(譲渡金約14億6500万円)

◆2006年
井川慶(阪神→ヤンキース) 2600万194ドル(譲渡金約30億円)
┗ヤンキース史上最悪の契約の一つとして米メディアでしばしば取り上げられています。
※米メディア「NJ.com」はヤンキース史上ワースト1位に選出

​阪神時代にエースとして活躍後、2006年オフにポスティングされ、ヤンキースが約30億円の入札で独占交渉権を獲得したものの、メジャーでの成績が振るわず不名誉な評価につながっています。
メジャー成績は2年間で16登板し、2勝4敗、防御率6.66に終わりました。
マイナーでは107登板で36勝25敗、防御率3.83もメジャーでは出番がありませんでした。

松坂大輔(西武→レッドソックス)5111万1111ドル(譲渡金約60億円)
┗2007-2008年のレッドソックス時代にピークを迎え、15勝や18勝を挙げたが、その後の故障で全体的に期待を下回る評価となっています。
四球多発(通算387)と故障(肩、肘、首)がネックとなっていました。
MLB7年間で158登板、790回1/3を投げ、56勝43敗、防御率4.45、WHIP1.40、奪三振720。

◆2012年
ダルビッシュ有(日本ハム→レンジャーズ) 5170万3411ドル(譲渡金約38億7800万円)
┗メジャー成績は、通算115勝93敗、防御率3.65、奪三振2075で日本人投手最多の活躍を示すが、故障続きで安定感に欠けつつも比較的高評価となっています。

レンジャーズ時代に最多奪三振(2013年)を獲得し、パドレス移籍後は2020年最多勝利などタイトルを獲得して、日米通算204勝の日本人最多勝利投手として成功例とされています。

◆2014年
田中将大(楽天→ヤンキース) 2000万ドル(譲渡金 約21億円)
┗メジャー成績は、ヤンキース7年間で78勝46敗、防御率3.74と安定した先発ローテ投手として貢献しました。

2014年開幕デビューから6年連続2桁勝利を達成し、オールスター2回選出されたが、故障(肘靭帯損傷など)と被本塁打多発が課題で、期待を上回ることが出来なかった評価と言われています。

日本復帰後も成績が低迷しました。
楽天復帰のち巨人に移籍して、日米通算200勝(NPB122勝、MLB78勝)を2025年に達成しています。

◆2016年
前田健太(広島→ドジャース) 2000万ドル(譲渡金 約24億円)
┗メジャー成績は、通算68勝56敗、防御率4.17と安定した先発・リリーフ両刀で貢献しました。
しかし故障続きでエース級には届かない評価とされています。
​ドジャース時代にワールドシリーズ2回出場、ツインズで2020年サイヤング賞2位を果たしたが、2024年の防御率6.09など晩年低迷し、2025年に複数球団を渡り歩きました。
2026年シーズンからは、日本球界復帰(広島ではなく楽天)が決まっています。

参考記事:前田健太投手(マエケン)の楽天復帰について調べてみた。

◆2017年
大谷翔平(日本ハム→エンゼルス) 2000万ドル(約23億円)
┗メジャー成績は、投打二刀流として史上最高レベルの活躍で、MVP4回(満票3回)、本塁打王2回、打点王1回(日本人初)を獲得し、「史上最高の選手」との評価されています。

ドジャース移籍後2024年にMLB初の50本塁打50盗塁を達成、2025年も投打復帰で連覇に貢献した。

通算成績(2025年終了時)
打者:1033試合、打率.282、280HR、669打点、165盗塁、OPS.957。
​投手:通算38勝19敗、防御率3.01、608奪三振。

◆2019年
菊池雄星(西武→マリナーズ) 1027万5000ドル(約11億3000万円)
┗菊池雄星のメジャー成績は、通算48勝58敗、防御率4.46、奪三振1011と安定した左腕先発とされています。
ただし、被本塁打多発と四球が課題となっています。

◆2020年
有原航平(日本ハム→レンジャーズ) 124万ドル(約1億3000万円)
┗メジャー成績は、テキサス・レンジャーズでの2年間(2021-2022年)で3勝7敗、防御率7.57と苦戦し、期待外れの評価とされています。
しかし、日本復帰(日本ハムではなく、ソフトバンク)後は、初年度こそタイトル獲得はなかったですが、2024年/2025年は最多勝を獲得しました。
そして、2025年オフにまさかの電撃日本ハム復帰が発表されました。

◆2021年
鈴木誠也(広島→カブス) 1462万ドル (約20億円)

◆2022年
吉田正尚(オリックス→レッドソックス) 1537万ドル(約21億円)
┗メジャー評価は、レッドソックス3年通算303試合打率.282、29HR、154打点と打撃に関してはある程度の評価をされています。
しかし、故障続きと守備力の低さでDH専任の成績としては物足りない評価となっています。

◆2023年
藤浪晋太郎(阪神→アスレチックス) 65万ドル(約8800万円)
┗メジャー評価は、2023年のアスレチックス・オリオールズで64登板ながら防御率7.18、WAR-2.1(メジャー最低)と大失敗に終わり、期待外れとされています。
2025年に日本復帰(阪神ではなく、DeNA復帰)を果たしています。

山本由伸(オリックス→ドジャース) 5062万5000ドル(約70億9000万円)
┗メジャー成績は、ドジャース移籍後2年で通算19勝10敗、防御率2.66とエース級の活躍で「メジャー最高の投手」「史上最高(GOAT)」との絶賛を受け、オールスター1回、WS MVPを獲得した。

NPB3年連続投手四冠王から12年3億2500万ドル契約で加入し、2024年は故障明けながら防御率3.00、2025年は12勝防御率2.49、201奪三振で2年連続WS優勝に貢献した。
WS3勝(日本人最多タイ)、WSMVP(松井以来日本人2人目)という大暴れをしました。

◆2024年
今永昇太(DeNA→カブス) 982万5000ドル(約14億2000万円)
┗今永昇太のメジャー評価は、カブス移籍後2年で通算24勝11敗、防御率3.28と新人王級の活躍でオールスター選出、オールMLBセカンドチーム(先発投手、日本人4人目)を獲得しています。

2024年は15勝3敗防御率2.91、174奪三振でルーキー・オブ・ザ・マンス(4月)受賞、2025年は9勝8敗防御率3.73の成績となっています。

2025年11月18日、シカゴ・カブスから提示されたクオリファイング・オファー(QO)を単年2202万5000ドル(約34億円)で受諾し、2026年カブス残留を決めました。
​2026年オフ再FAの可能性を残しています。

上沢直之(日本ハム→レイズ) 6250ドル(約91万円)
┗メジャー成績は、2登板(救援)、4回、0勝0敗、防御率2.25、WHIP1.00、奪三振3、与四球2。
ほとんど活躍することがなかったです。
上沢式FAにて、ソフトバンク復帰後2025年12勝防御率2.74と復活しています。

参考記事:有原式FAを超える上沢式FAがついに降臨。

◆2025年
佐々木朗希(ロッテ→ドジャース) 162万5000ドル(約2億5000万円)
┗メジャー成績は、故障と制球難で10登板1勝1敗防御率4.46に終わりました。
しかし、ポストシーズンは、救援として復活して無失点ホールド複数と活躍しました。

◆2026年
村上宗隆(ヤクルト→ホワイトソックス) 2年総額3400万ドル(約10億3500万円)
┗シカゴ・ホワイトソックスと2年総額3400万ドル(約52億円)で契約したが、メジャーでの実績はなく、NPB通算OPS.951のパワーと三冠王(2022年)を評価しつつ、三振率30%超のコンタクト難と打率低下を懸念する声が多いです。
当初は、大型複数年予想されていましが、2年総額3400万ドルの契約になりました。

参考記事:村上宗隆選手ホワイトソックスへ!年俸やプロフィールについても徹底調査!【2026年最新】

今井達也(西武→アストロズ) 3年総額5600万ドル(約15億6000万円)
┗メジャー実績はなく、NPB通算58勝45敗防御率3.15の安定エースとして高評価で、FA先発ランキング3-4位に位置づけられていました。

直近3年防御率2.18、奪三振率9.5以上、2025年10勝5敗防御率1.92(163.2回178K)と被打率.176で台頭、米メディア「メジャー平均以上」「お買い得」とされました。

ただし、契約の中に1年目、2年目終了時に契約破棄できるオプトアウト権を有しています。

参考記事:西武・今井達也選手がアストロズと電撃合意

高橋光成(西武→未定)
2025年オフのポスティング申請で複数の球団からオファーがあったものの、合意に至らず西武残留の可能性があります。

NPB11年通算73勝77敗防御率3.44ですが、奪三振率低く(7.1K/9)ストレートの空振り率がメジャー障壁とされ、交渉期限(2026年1月5日)を経てNPB復帰する可能性があります。

(2026年1月5日更新)
2025年オフに西武からポスティング承認を得てMLB挑戦を表明し、3球団からオファーがありましたが、満足できる条件が出ず日本時間2026年1月5日頃に交渉期限を待たず西武残留を決断しています。

西武は1月4日に契約合意を公式発表し、複数年契約の見込みで今季もエースとして活躍が期待されています。
ただし、2026年シーズンに海外FA権取得が見込まれ、再挑戦の可能性も残っています。

岡本和真(巨人→未定)
NPBにて、3回の本塁打王・2回の打点王の実績でOPS.882と長打力を評価されています。
しかし、現状は契約締結に至っていません。
(2026年1月4日更新)
ブルージェイズ入りが発表されました。
果たして、強力打線でレギュラーを獲得できるのか。
期待してシーズンを待ちましょう。

参考記事:岡本和真選手がブルージェイズ入りへ。4年6000万ドルで締結。

ポスティング譲渡金ランキング

為替変動を考慮しない形で、ドルでランキングにしています。

  • ①ダルビッシュ有選手
    譲渡金:5170万3411ドル
  • ②松坂大輔選手
    譲渡金:5111万1111ドル
  • ③山本由伸選手
    譲渡金:5062万5000ドル
  • ④田中将大選手/大谷翔平選手
    譲渡金:2000万ドル
  • ⑤吉田正尚選手
    譲渡金:1537万5000ドル
ABOUT ME
副田
小学校低学年から野球と出会って30年余り。 野球オタク。巨人坂本選手が大好きです。