出場機会に恵まれない選手の移籍を活性化させるために実施されている現役ドラフトも、2024年で3回目です。
今回は、2024年現役ドラフト振り返っていきます。
現役ドラフトとは
現役ドラフトは、出場機会に恵まれない選手の移籍を活性化させ、球界全体の戦力均衡を図ることを目的として導入された制度です。
主な背景と目的は以下の通りです:
-
出場機会の創出:実力があるにも関わらず、チーム事情で試合に出られない選手に新たな活躍の場を提供する。
-
選手のキャリア再起:新しい環境で選手が能力を発揮し、キャリアの再起を図る機会を与える。
-
球団間の戦力均衡:選手の移籍を通じて、チーム間の戦力差を縮小する。
-
米大リーグの制度を参考:メジャーリーグの「ルール・ファイブ・ドラフト」を参考に、日本プロ野球選手会が導入を提案した。
-
選手会からの要望:2018年頃から選手会内で議論が始まり、2019年に日本野球機構(NPB)に正式に提案された。
-
既存の問題解決:これまで多くの選手が出場機会を得られずにキャリアを終えていた問題の解決を図る。
この制度は2022年から導入され、毎年12月に実施されています。選手に新たなチャンスを提供し、プロ野球界全体の活性化を目指しています
2024年現役ドラフト結果
氏名 | 指名先球団 | 所属球団 | 守備位置 |
畠 世周 | 阪神タイガース | 読売ジャイアンツ | 投手 |
浜地 真澄 | 横浜DeNAベイスターズ | 阪神タイガース | 投手 |
上茶谷 大河 | 福岡ソフトバンクホークス | 横浜DeNAベイスターズ | 投手 |
矢崎 拓也 | 東京ヤクルトスワローズ | 広島東洋カープ | 投手 |
柴田 大地 | 東北楽天ゴールデンイーグルス | 東京ヤクルトスワローズ | 投手 |
石垣 雅海 | 千葉ロッテマリーンズ | 中日ドラゴンズ | 内野手 |
吉田 賢吾 | 北海道日本ハムファイターズ | 福岡ソフトバンクホークス | 捕手 |
田中 瑛斗 | 読売ジャイアンツ | 北海道日本ハムファイターズ | 投手 |
平沢 大河 | 埼玉西武ライオンズ | 千葉ロッテマリーンズ | 内野手 |
伊藤 茉央 | 中日ドラゴンズ | 東北楽天ゴールデンイーグルス | 投手 |
山足 達也 | 広島東洋カープ | オリックス・バファローズ | 内野手 |
本田 圭佑 | オリックス・バファローズ | 埼玉西武ライオンズ | 投手 |
【2巡目】
鈴木 健矢 | 広島東洋カープ | 北海道日本ハムファイターズ | 投手 |
-
広島カープが初めて2巡目まで指名し、山足達也内野手(オリックス)と鈴木健矢投手(日本ハム)を獲得しました。
-
日本ハムが吉田賢吾捕手(ソフトバンク)を指名し、この制度で初めての捕手の移籍となりました。
-
13人中9人が投手で、投手の移籍が多くなっています。
-
ドラフト1位経験者の移籍が3名(矢崎選手、平沢選手、上茶谷選手)いました。
2024年現役ドラフトで期待されている選手
2024年の現役ドラフトで移籍し、期待されている選手には以下のような選手がいます。
-
田中瑛斗投手(日本ハム→巨人):
25歳の若手投手で、巨人の投手陣強化に期待がかかっています。
2022年にプロ初勝利を挙げ、2024年シーズンはファームで29試合に登板し5勝2敗、防御率2.35と安定した成績を残しています。
1軍での実績が少ないことや、新しい環境への適応が課題となる可能性もあります。
しかし、田中選手自身が「もう一回ルーキーのような気持ちで、がむしゃらに」と意気込んでおり、新天地での活躍が期待できるかもしれません。 -
畠世周投手(巨人→阪神):
2016年のドラフト2位選手で、阪神での復活が期待されています。
巨人では通算119試合に登板し、19勝12敗、19ホールド、2セーブ、防御率3.21の実績があります。
2016年ドラフト2位で巨人に入団し、1年目から6勝を挙げるなど将来のエース候補として期待されていました。30歳という年齢や、ここ数年の登板数の少なさが課題となる可能性もあります。 -
平沢大河内野手(ロッテ→西武):
2015年のドラフト1位選手で、西武での再起が注目されています。
2015年ドラフト1位で入団した選手であり、潜在能力の高さがあります。
26歳という年齢で、まだ伸びしろがあると考えられます。
ただし、ロッテでの成績不振や2024年シーズンの1軍出場がなかったことなど、課題もあります。しかし、平沢選手自身が「出塁率が高いのが自分の特長。チームに貢献したい」と語っており、西武での活躍が期待できるかもしれません。高校No.1ショート”という評価を受け、走攻守そろった好プレーヤーとして注目されていた輝きを取り戻してほしいものです! -
上茶谷大河投手(DeNA→ソフトバンク):
2018年のドラフト1位選手で、ソフトバンクでの活躍が期待されています。2018年ドラフト1位で東洋大からDeNAに入団した選手であり、ルーキーイヤーには25試合に登板し7勝をマークしています。
小久保裕紀監督が上茶谷の先発起用を明言しており、開幕ローテーション入りが期待されています。ただし、DeNAでの6年間で思うような結果を残せなかったことや、新しい環境への適応が課題となる可能性もあります。しかし、上茶谷選手自身が「危機感を持って頑張りたい」と語っており、ソフトバンクでの活躍が期待できるかもしれません。
-
吉田賢吾捕手(ソフトバンク→日本ハム):
23歳の若手捕手で、現役ドラフト初の捕手移籍として注目されています。
2022年ドラフト6位で桐蔭横浜大からソフトバンクに入団した選手で、大学時代は強打の捕手として注目されていました。
ただし、ソフトバンク時代の1軍成績(11試合で打率.185)や、2軍での実績(2024年は79試合で打率.303、3本塁打)を考えると、即戦力としての期待は慎重に見る必要があります。しかし、吉田選手自身が「甘えがあった」と反省し、新天地での活躍を誓っていることから、日本ハムでの飛躍が期待できるかもしれません。
現役ドラフトの主な成功例
現役ドラフトの主な成功例は以下の通りです。
-
細川成也外野手(中日ドラゴンズ):
DeNAでは6年で6本塁打だった未完の大器が、中日で2年47本塁打と開花しました。現役ドラフトの成功例とされています。 -
水谷瞬外野手(北海道日本ハムファイターズ):
ソフトバンクから日本ハムに移籍し、2024年シーズンにオールスターに選出されるほどの活躍を見せました。 -
長谷川威展投手(福岡ソフトバンクホークス):
日本ハムから移籍し、2024年シーズンは32試合に登板して6ホールド、防御率2.49を記録。リーグ優勝に貢献しました。 -
大竹耕太郎投手(阪神タイガース):
ソフトバンクから阪神に移籍し、成功例の一人とされています。
これらの選手たちは、新天地で活躍の機会を得て、チームに貢献する成績を残しています。現役ドラフトは、選手に新たなチャンスを提供し、プロ野球界全体の活性化に寄与していると言えます。