トミージョン手術とは?
トミージョン手術とは、腱や靱帯の損傷あるいは、断裂といった症状に対して腱や靱帯を再建するための手術です。
野球選手の場合、投球動作などによる肘への負荷が原因となり、障害が生じてしまいます。
野球選手のように腕を使った激しい動作を繰り返すスポーツ選手は、肘や肩、手首などになんらかの障害を生じるケースは、珍しくありません。
1974年に世界で初めてこの手術を受けた、アメリカのメジャーリーグの投手、トミー・ジョン選手から名付けられています。
当時、この手術は非常に珍しく、成功率も低いとされていました。
しかし、トミー・ジョン選手は、術後見事に復帰して、その後14年に渡り、現役を続けることが出来ました。
このことから、トミージョン手術が注目されて、腱や靱帯の損傷した選手が手術を受けるようになりました。
次第に注目を集めるようになり、現在では、多くの野球選手にとって、肘の靭帯損傷からの復帰を可能にする、希望の手術として知られるようになりました。
また当初は、トミージョン手術後の選手は、復帰率も低い傾向がありました。
しかし、近年は手術技術の向上により、実戦復帰率も約80%~90%となっています。
トミージョン手術のメリット

元の状態で復帰できる可能性が高い
約80%~90%もの人々が実戦復帰を果たしており手術の成功率が格段に向上しています。
復帰後に球速が速くなるというケースも一部報告されています。
しかし手術を受けたことが原因ではなく、リハビリの過程で球速が向上するとされています。
そもそも実力などさまざまな条件の違いが多く影響するため、一概に言えないという説もあります。
近年では、大学生時代にトミージョン手術を選択する選手もいます。
代表的な例でいえば、現読売ジャイアンツ山崎伊織選手が挙げられます。
山崎伊織選手は、大学3年秋に右肘の靱帯を部分断裂しています。
当初は保存療法を選択しましたが、大学4年生の6月にトミー・ジョン手術を受けています。
リハビリ中ではありましたが、潜在能力を買われて2020年のドラフト2位で指名されています。
無事に復帰を果たして、2023年/2024年と連続で、2桁勝利を挙げています。
トミージョン手術のデメリット

復帰まで時間がかかる
手術後のリハビリ期間が1年~1年半程度必要とされています。
移植した腱が定着するまでに、ある程度の時間がかかると言われています。
トミージョン手術をおこなってすぐに復帰は難しく、本格的なリハビリは4カ月後とも言われています。
また、成功率が高いとは、元の状態まで復帰できない可能性もあります。
合併症のリスク
感染症や神経損傷のリスクが少なからずあります。
トミージョン手術を受けた主な選手一覧
前田健太選手
トミージョン手術を受けた主な選手一覧

前田健太選手
2025年現在デトロイト・タイガース所属
トミー・ジョン手術を経て、678日ぶりの勝利を挙げています。
ダルビッシュ有選手
2025年現在サンディエゴ・パドレス
2016年に670日ぶりで復活勝利。
藤川球児選手
元阪神タイガース
2013年当時シカゴ・カブスに所属していた際に、トミージョン手術を受けています。
その後、2020年まで現役を続けて、2025年シーズンの阪神タイガースの監督に就任をしています。
松坂大輔選手
元西武ライオンズ
2011年にトミージョン手術を受けています。
レッドソックスにて2012年に477日ぶりで復活勝利。
大谷翔平選手
2018年にトミージョン手術を受けた大谷翔平選手は、手術から約1年後に打者として復帰し、投手としても復帰しました。
また2024年にも再度トミージョン手術を受けて、2025年に投手復帰を目指しています。
大谷翔平選手は、2度のトミージョン手術を受けた珍しいケースです。
二度目のトミー・ジョン手術を行なって、活躍しているのが2025年現在テキサス・レンジャーズのネイサン・イオバルディ選手です。
ネイサン・イオバルディ選手は、2年連続でサイ・ヤング賞受賞も果たしているなど、完全復活を果たしている投手です。
もちろん手術を受ける選手もいますが、保存療法を選択する選手もいます。
近年でいえば、ヤクルトスワローズの奥川選手は保存療法を選択しています。
トミージョン手術まとめ
- 復帰までに時間がかかる/手術後のリハビリ期間が1年~1年半程度必要とされています。
- メジャーリーガーも多く、手術を受けています。大谷翔平選手の2025年に期待