ストーブリーグにおいて重要なMLBとNPBのFA権取得の仕組みについて調べてみた。
オフシーズンの「ストーブリーグ」は非常に盛り上がっていきます。
今回は、ストーブリーグにおいて重要なMLBとNPBのFA権取得の仕組みについて調べていきます。
この記事では、MLBのサービスタイム制度とNPBの一軍登録日数など、FA権を獲得するための具体的な条件を詳しく解説します。
選手登録の基本となるロースター制度や、怪我による離脱時に活用される故障者リスト(ILリスト)について記載していきます。
また、さらにNPBのFA権やFA権を利用せずに海外に挑戦する際の「ポスティング制度」についても紹介していきます。
MLB・FA権取得の条件
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選手がメジャーリーグのアクティブ・ロースターに登録された日数(サービスタイム)を6年(約1032日)以上積むと、FA権を自動取得します。
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サービスタイムには故障や出場停止でロースターから外れている期間も含まれます。
アクティブロースターとは
- メジャーリーグのアクティブ・ロースターとは、チームが公式戦でベンチ入りさせて出場可能な選手の枠のことを指します。以下、主なポイントです。
通常、26人の選手で構成され(2019年までは25人枠)、この選手たちが試合で起用されます。
- チームの40人ロースター登録選手の中から選ばれ、40人枠全員が試合に出られるわけ ではありません。
- 9月1日からは「セプテンバー・コールアップ」と呼ばれる制度で、アクティブ・ロースターは28人に拡大されます。
- アクティブ・ロースター内では、投手は最大13人までという制限があり、野手や投手以外の二刀流選手の区分もあります。
- 負傷者リストや育休リストに入っている選手は除外され、実際に試合に出られる選手のみがアクティブ・ロースターに含まれます。
- アクティブ・ロースターは選手登録の実質的な「一軍登録」枠とも言えます。
この制度により、チームは試合に出る26人の選手を管理しつつ、故障者などを別枠で管理しています。アクティブ・ロースター登録は選手のメジャーでの出場資格の仕組みです.
怪我人とロースターの関係
怪我人とロースターの関係は、メジャーリーグ(MLB)において非常に重要な管理ポイントです。怪我で試合に出られない選手をどのようにロースターから外し、チームがどのように選手を補充するかは、戦力維持に直結します。
怪我人とロースター
怪我人は基本的に「故障者リスト(IL=Injured Listと呼ばれる)」に登録されます。
このリストに入れられた選手は「アクティブ・ロースター」から外されるため、チームはその人数分を新たに登録可能です。
つまり、故障者リストに選手を入れることで、怪我人の代わりの選手をアクティブ・ロースターに入れてゲームに出せる状態にします。
ILの期間とロースターへの影響
ILリストの登録期間は怪我の状態に応じて異なり、主に10日間(投手が 15日間、野手が 10日間)、60日間の3種類があります。
10日ILに入れた選手は最低10日間試合に出場できず、その間アクティブ・ロースター枠から外れます。
60日ILに入れた場合は、その期間中はさらに長くロースター外となり、永久欠員的な扱いで来季の40人ロースターからも外れることが多いです。
IL期間中、チームは補充選手をアクティブ・ロースターに登録でき、戦力維持を図ります。
怪我でILに入ることで怪我人はアクティブ・ロースターから除外されるが、その分代わりの選手を登録可能。
ILの期間(10日か60日)により、選手のロースターからの除外期間が決まり、チーム編成に影響する。
長期ILは選手の40人ロースター登録にも影響し、チーム運営に大きな意味を持ちます。
以上のように、怪我人のIL登録期間はチームの試合登録可能選手数を調整し、ロースター運用の重要な要素となっています.
DFAとロースターとの関係
MLBにおけるDFAとは「Designated For Assignment」の略で、選手を40人ロースター(メジャー契約選手の登録枠)から外す手続きのことです。
DFAは球団が40人枠に空きを作る必要がある場合によく使われます。
DFAの仕組みと流れ
チームが新たに選手を40人ロースターに登録したいとき、40人枠に空きがない場合に既存の選手をDFAにします。
DFAにされた選手は最長7日間の猶予期間内に以下のいずれかの処遇となります。
他球団へのトレード
ウェーバー公示され他球団が選手を獲得
マイナー契約への降格(選手が同意すれば)
自由契約(解雇)
DFAは即時解雇や放出を意味するわけではなく、球団が選手の処遇を決めるための保留期間のようなものです。
選手のサービスタイムなどによりマイナー降格を拒否できる場合もあり、その時はFA(自由契約)となります。
DFAの目的と背景
40人枠は最大で、これを越えられないため、新戦力の獲得や故障者の復帰などで枠を空ける必要があるときにDFAが使われます。
日本プロ野球の「戦力外通告」と呼ばれるものとは異なり、DFA後も球団に残る(マイナー契約等)選択肢があります。
故障者リスト以外のリスト
- 忌引リスト(Bereavement List)家族の不幸などの理由で3~7試合ほど欠場する場合の一時的登録リスト。
- 父親リスト(Paternity List)
MLBが2011年に導入した産休制度で、選手が妻の出産に立ち会うために最長3日間チームを離れられるものです。2025年に大谷翔平選手は「父親リスト(Paternity List)」に登録されました。大谷翔平選手は妻・真美子さんの第1子出産に伴い4月18日に父親リスト入りし、数日間試合を欠場しました。
その後チームに復帰しています。
この期間中は通常通り給料が支払われ、40人枠に代わりの選手を登録できる制度です。
- 制限リスト(Ineligible List)
規定違反や不正行為による資格停止の選手を登録し、チーム帯同などを制限するリスト。
FAとなるタイミング
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ワールドシリーズ終了の5日後から、選手は全チームと自由に契約交渉可能となります。
FAまでの仕組み
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選手はキャリア段階に応じて所属球団との自由度が段階的に拡大していきます。
FAまでの仕組みを理解する前に、MLBの年俸調停権とノンテンダーFAの仕組みと関係についても確認しておきましょう。
年俸調停権
- メジャーリーグ(MLB)の年俸調停権は、メジャーリーグのアクティブロースター(出場可能選手枠)に通算3年以上登録された選手に付与される権利です。この調停権は、選手とチームが年俸交渉で合意に至らなかった場合に、第三者機関(調停人)が選手側かチーム側の提示額のいずれかを裁定し、年俸を決定する仕組みです。
つまり、年俸調停権は主に中堅選手がチームに拘束され不当に低い年俸で抑えられないための権利であり、その期限前の交渉決裂時のセーフティネットとなっています。
そして、球団がその選手の契約を提示しないと後述のようにノンテンダーFAとなり、完全にチームから離れて自由契約選手になることができます。
ノンテンダーFA
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チームが来シーズンの契約を提示しなかった場合、サービスタイムが6年に満たなくてもFAになる「ノンテンダーFA」という制度があります。
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この場合、選手は市場での評価に応じて低い年俸で契約することが多いです。
クオリファイング・オファー(QO)
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チームはFA選手に対し、前年のMLB選手年俸上位125人の平均額を1年契約で提示できる制度。
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選手がこのオファーを拒否して他球団に移籍すると、元のチームは移籍先チームからドラフト指名権を獲得します。
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QOを選手が受け入れることは稀で、ほとんどの選手は拒否します。
FAまでの仕組みまとめ
| 制度 | 条件 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 年俸調停権 | MLB3年以上6年未満 | 契約交渉未成立時、第三者機関が契約年俸決定 | 失敗した場合には、球団が提示した年俸額が裁定される |
| ノンテンダーFA | 球団が契約拒否の場合 | 契約提示なしで自由契約選手になる | |
| FA権 | MLB6年以上 | 他球団と自由交渉可能 | 調停権はこの時消滅 球団側がQOを実施する |
NPBとMLBの違い
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MLBのFAは自動で権利が発生し、選手は行使を選べません。一方、NPBではFA権取得後、選手が行使を選べます。
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NPBではFA選手獲得時に人的補償が発生しますが、MLBではドラフト指名権による補償で人的補償はありません。
NPBのFAに関して
NPBのFA制度は、選手が一定の条件を満たすと、自分の所属球団に縛られず他球団と契約交渉ができる権利を指します。
これは選手の移籍の自由を保障する制度であり、主に国内FAと海外FAに分かれます。
また、海外FAに近い制度として、ポスティング制度があります。
FA権とは
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選手は規定の出場年数や契約年数を満たすとFA権を取得できます。例として、国内FAは8シーズン(145日登録×8年)、海外FAは9シーズン(145日登録×9年)となります。
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FA選手は宣言して初めてFA権を行使できます。
行使しなくても所属球団と契約を継続可能です。 -
FA移籍に際しては、元の球団への金銭補償や人的補償が発生する場合があります。
ただし最近は年俸上位11位以下の選手は補償不要とするルールもあります。 -
選手はFA宣言後、国内の別球団だけでなく、海外球団とも自由に契約交渉できます。
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NPBのFAは選手の宣言権や手続きが重要で、取得後に宣言しない場合は移籍の自由は生まれません。
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FAとは別に、「自由契約」という制度もあり、こちらは球団が選手との契約を解除し、どの球団とでも契約可能な状態にするものです。戦力外通告を受けた選手の多くはこの自由契約選手として扱われます。
FA移籍時の補償制度に関して
FA移籍時の補償制度は、前述の通り「人的補償」と「金銭補償」の2種類があります。
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人的補償
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移籍先球団は、他球団へ提示する「プロテクトリスト」に28名までの選手を登録します。このリストに載っている選手は補償対象外です。
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移籍元球団はプロテクトリストに入っていない選手の中から1名を獲得できます。外国人選手や新入団の新人選手は対象外です。
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金銭補償
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移籍するFA選手の年俸に応じた一定割合の金銭を移籍先球団が移籍元球団に支払います。
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補償なしや金銭のみの補償を選ぶこともできます。
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ランクによる補償内容の違い
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Aランク(年俸上位1~3位):人的補償+年俸の50%の金銭、または年俸の80%の金銭のみ
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Bランク(4~10位):人的補償+年俸の40%の金銭、または年俸の60%の金銭のみ
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Cランク(11位以下):補償なし
補償選択の流れ
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移籍元球団は補償の種類を選択できますが、移籍先球団はこれに従わなければなりません。
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移籍元球団はプロテクトリスト外の選手から有望な選手を獲得できるため、戦力維持が可能です。
人的補償で活躍した選手
NPBのFA移籍に伴う人的補償で移籍し、その後活躍した選手として以下の例があります。
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福地寿樹選手(西武→ヤクルト):2007年に人的補償で移籍。俊足と巧打で移籍初年度からレギュラーに定着し、2008年と2009年に2年連続盗塁王を獲得しました。
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一岡竜司選手(巨人→広島):2014年に人的補償で移籍。移籍初年度から中継ぎでチームを支え、広島のリーグ3連覇(2016~2018年)に貢献しました。
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酒居知史選手(ロッテ→楽天):2019年に人的補償で移籍。移籍後はリリーフとして安定した投球を続け、2024年には通算100ホールドを達成しています。
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田中正義選手(ソフトバンク→日本ハム):2023年に人的補償で移籍。怪我が多かったものの日本ハムで抑えとして活躍し、25セーブを記録しました。
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平良拳太郎選手(巨人→DeNA):2017年の人的補償で移籍後、3年連続で先発ローテーション入りを果たしました。
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小野郁選手(楽天→ロッテ):2020年の人的補償で移籍し、セットアッパーとして3年連続40試合以上に登板するなど活躍しています。
海外FA権に関して
NPBの海外FA権を行使してメジャーリーグなど海外球団に移籍する場合、国内FAのような人的補償や金銭補償は一切発生しません。
これはNPBの補償制度が国内FA移籍時にのみ適用され、海外FA権による移籍は基本的にMLBとの間の契約となるためです。
補償が一切ないため、後述のようにポスティング制度を利用するNPB球団もあります。
ポスティングに関して
ポスティング制度は、NPB選手が海外FA権をまだ取得していない段階でMLBなど海外球団へ移籍する際に使われる制度です。
移籍希望の選手を所属球団が公的に承認し、選手は指定期間(2025年の場合11月1日から12月15日)内にMLB全30球団と交渉が可能となります。
主な流れは以下の通りです。
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所属球団がポスティング制度での移籍を承認し、NPBコミッショナーに申請。
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MLB機構はこの選手を交渉可能選手として全MLB球団に公示。
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約45日間の交渉期間が設けられ、その間に契約交渉が行われます。
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契約成立すれば、移籍先MLB球団からNPB球団に譲渡金が支払われます。
譲渡金の額は契約内容に応じて以下のように変動します。
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契約金・年俸・出来高ボーナス総額のうち、2,500万ドルまでは20%
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2,500万ドル超〜5,000万ドルまでは17.5%
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5,000万ドル超は15%
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出来高ボーナスは15%
譲渡金は一括または分割で支払われます。
また、25歳以上でNPBに6年以上所属などの条件を満たした選手はメジャー契約を結べますが、それ以下の若手選手はマイナー契約となり譲渡金も抑えられます。
2024年にポスティングを利用した元ロッテ元ロッテの佐々木朗希選手や今や二刀流で大活躍をしている大谷翔平選手も25歳以下で渡米しています。
この制度は選手の自由な移籍を促進すると同時に、所属球団への財政的補償も確保する仕組みです。
例えば2025年はヤクルト村上宗隆選手、巨人岡本和真選手らの利用が注目されています。
まとめ
FA権を持つ有力選手の動向やポスティング制度を利用した海外移籍、メジャーのロースター編成の動きなどニュースが相次ぎ、多くの話題が生まれます。
こうした話題はファンの期待や関心を刺激し、野球界全体の盛り上がりにつながります。
また、NPB・MLBの両方で有力選手の去就が話題になるため、国内外のファン・報道陣からの注目度も非常に高い期間といえます。ストーブリーグの動きは、次シーズンのチーム力や戦略を占う重要な鍵として熱心に追われています。